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有馬記念を好走する牝馬の共通点は非根幹距離適性!?名牝5頭の活躍を振り返る!!

名馬

「近年の有馬記念は牝馬が強い!!」

令和となった現在、牝馬活躍の傾向は、ますます強くなってきています。

ひと昔前まで、有馬記念は「牝馬が勝てないレース」と言われていました。事実、1972年から2007年までの37年間、牝馬の勝てていない時代があったのです。

「有馬記念を好走する牝馬には、なにか特徴があるはず……」。そう考えたとき、一番に気づく点は「非根幹距離適性」でしょう。

「非根幹距離」とは?

今回の記事では、1200m,1600m,2000m,2400m,3200m,3600mを「根幹距離」とし、それ以外の距離を「非根幹距離」としています。

根幹距離に比べ非根幹距離はクセが強く、パワーのある馬が好成績を収めやすいコース。

有馬記念は中山芝2500m。「非根幹距離」になります。

今回の記事では「非根幹距離レースが得意で、有馬記念でも好走した牝馬」のうち代表的な5頭を、ご紹介。年末の名勝負を振り返ります。

有馬記念を好走した牝馬 1 ダイワスカーレット

アグネスタキオン
スカーレットブーケ
同世代の活躍馬 ウオッカ、アストンマーチャン、ローブデコルテなど
競走成績 12戦8勝 [8-4-0-0]
GⅠ勝鞍 2007年 桜花賞

2007年 秋華賞

2007年 エリザベス女王杯

2008年 有馬記念

「有馬記念を好走した牝馬」といえば、牝馬による有馬記念制覇を37年ぶりに成し遂げた、ダイワスカーレットの名が一番に挙げられます。

名門・松田国英厩舎所属ダイワスカーレットは根幹距離も非根幹距離もこなせる牝馬で、「デビューから引退までの12戦が全て2着以内」という驚異的な記録を残しました。

ダイワスカーレットに「非根幹距離が得意」といった印象を持っているファンは少ないかもしれません。しかし一度、↓↓こちらのメモをご覧ください。↓↓

【ダイワスカーレットの距離別成績と、勝利したGⅠ競走】

根幹距離……7戦4勝 桜花賞 秋華賞

非根幹距離……5戦4勝 エリザベス女王杯 有馬記念

ダイワスカーレットの勝率は非根幹距離のほうが上ですね。ライバルのウオッカが根幹距離を超得意としていたことも響いていますが、データ上「ダイワスカーレットは非根幹距離が得意」という認識は間違っていない、と断言できます。

ダイワスカーレットの注目レース「2008年 有馬記念(1番人気 1着)」

ダイワスカーレットが成し遂げた「37年ぶりに牝馬が制す有馬記念」を、振り返りましょう。

前走の天皇賞(秋)で大接戦の末、ウオッカに敗れてしまったダイワスカーレット。「強い馬が集まるレースで勝ちたい」という陣営の想いは変わらず、レース前から有馬記念が終わったあとの海外遠征も視野に入れていました。

2007年の有馬記念。ダイワスカーレットは初の中山コースをものともせず、5番人気2着と好走しました。そして2008年の有馬記念。4歳となり充実期に入ったダイワスカーレットは単勝オッズ2.6倍の1番人気に推されました。

レースでは8枠13番からスタートしたダイワスカーレットが序盤からハイペースで後続を引っ張ります。前半1000mの通過タイムは59秒6。メイショウサムソンやカワカミプリンセスなどのGⅠ馬も競りかけますが、ダイワスカーレットについていけません。

最後の直線ではダイワスカーレットについていけなくなった先行勢が総崩れ。今度は最後尾からアドマイヤモナークとドリームジャーニーが襲いかかります。しかしダイワスカーレットに追いつくことは、とても叶いませんでした。

完全に力で押し切り、有馬記念を制したダイワスカーレット。今後の活躍を大いに期待されましたが、屈腱炎により2009年2月に引退。最強を証明した2008年の有馬記念が結果として、ダイワスカーレットのラストレースとなってしまいました。

有馬記念を好走した牝馬 2 リスグラシュー

ハーツクライ
リリサイド
同世代の活躍馬 ソウルスターリング、ディアドラ、レイデオロなど
競走成績 22戦7勝 [7-8-4-3]
GⅠ勝鞍 2018年 エリザベス女王杯

2019年 宝塚記念

2019年 コックスプレート(オーストラリア)

2019年 有馬記念

非根幹距離の得意な牝馬は決して多く存在していません。リスグラシューは牡馬顔負けのパワーと規格外の成長力で、非根幹距離のGⅠレースを4勝もした怪物牝馬です。

4歳夏までのリスグラシューはGⅠで善戦止まりの、惜しいレースを重ねてきました。しかし4歳秋に急成長を遂げます。馬体重は440kg台から460kg台まで増え、エリザベス女王杯でGⅠ初制覇。

リスグラシューの成長は5歳になっても止まりません。6月に宝塚記念を制すると10月には57kgの斤量を背負い、オーストラリアGⅠのコックスプレートを勝利します。年末には引退レースとなる有馬記念も圧勝。

5歳秋で引退する瞬間まで成長し続けたリスグラシューは、馬名由来「優雅な百合(フランス語)」にちなみ「遅咲きの大輪」とも呼ばれています。

リスグラシューの注目レース「2019年 有馬記念(2番人気 1着)」

外国人騎手と抜群の相性を誇ったリスグラシューは2019年6月にオーストラリアの名手ダミアン・レーンを迎え、競走馬生活最高の快進撃を遂げました。そして引退レースとなる有馬記念、圧勝で現役最強を証明してみせたのです。

2019年の有馬記念、16頭中GⅠ馬が11頭という強力メンバーの中でリスグラシューは2番人気に推されました。圧倒的1番人気は当時GⅠ6勝中で3着内率100%の名牝アーモンドアイで、単勝オッズ1.5倍。

レースではリスグラシューと同じく引退レースとなるGⅠ牝馬アエロリットが積極的に逃げ、前半1000m58秒5のハイペースを作り出します。リスグラシューは道中10番手の好位につけました。

最後の直線では馬群の前めに進出していたアーモンドアイが仕掛けます。ゴール前直線の短い有馬記念、ファンはアーモンドアイの抜け出しを確信しかけました。しかし残り200mでアーモンドアイがまさかの失速。中山コースへの弱さを露呈してしまいました。

9着に沈んだアーモンドアイとは対照的に、リスグラシューは上がり最速の末脚で馬群を置いてけぼりにします。結果は3番人気2着のサートゥルナーリアに5馬身差の圧勝。リスグラシューは楽勝ともいえる走りで現役最強馬の称号を手にし、ターフに別れを告げました。

有馬記念を好走した牝馬 3 クイーンズリング

マンハッタンカフェ
アクアリング
同世代の活躍馬 キタサンブラック、ドゥラメンテ、ミッキークイーンなど
競走成績 19戦6勝 [6-3-0-10]
GⅠ勝鞍 2016年 エリザベス女王杯

2017年の有馬記念で8番人気2着に好走したクイーンズリングも、非根幹距離でのレースを得意とする牝馬です。2016年には、エリザベス女王杯を3番人気で制しました。

GⅠ馬としては不安定な戦績のクイーンズリングでしたが、6勝中5勝が非根幹距離。父マンハッタンカフェを彷彿とさせる非根幹距離適性の一端を時折見せ、ファンの注目を集めました。

クイーンズリングの引退後は初年度産駒として、同じ引退レースでワンツー決着を演出したキタサンブラックの仔を出産。初仔は残念ながら亡くなってしまいましたが、ファンの話題を集めました。

クイーンズリングの注目レース「2017年 有馬記念(8番人気 2着)」

2016年にエリザベス女王杯を制したクイーンズリングですが、2017年は引退レースとなる有馬記念を迎えるまで、4戦して4着が最高着順。すっかり成績が落ち込んでいました。

2017年の有馬記念はGⅠ6勝中のスターホース、キタサンブラックのラストランに注目が集まりました。クイーンズリングの引退レースであることも話題には触れられましたが、ほんのわずかです。

「鞍上がルメールでなければ2桁人気」と言われた8番人気、クイーンズリング。しかしクイーンズリングは「中山戦績2戦2勝」というコース適性を秘めていたのです。そして父マンハッタンカフェの血が、有馬記念の好走につながりました。

レースでは1番人気キタサンブラックが変幻自在の脚質でマイペースに持ち込み、前半1000mの通過タイムを61秒6まで落としました。クイーンズリングも自在性の高さを活かし、4~5番手の好位を獲得します。

最後の直線でクイーンズリングは、マイペースを守り抜いたキタサンブラックにこそ敵いませんでした。しかし2番人気スワーヴリチャードと3番人気シュヴァルグランの追撃を凌ぎ切ったクイーンズリングは、有馬記念2着の大健闘で競走馬生活を終えたのです。

有馬記念を好走した牝馬 4 サラキア

ディープインパクト
サロミナ
同世代の活躍馬 アーモンドアイ、ラッキーライラック、ワグネリアンなど
競走成績 20戦4勝 [4-5-1-10]
GⅠ好走歴 2020年 エリザベス女王杯 5番人気 2着

2020年 有馬記念 11番人気 2着

三冠牝馬アーモンドアイと同世代の牝馬、サラキアも「2着以内に入ったレースの8戦中7戦が非根幹距離」というコース適性を誇り、2020年の有馬記念でも11番人気2着という好成績を残しました。

サラキアは戦績こそ3年間でGⅡ1勝のみの、重賞善戦牝馬です。しかしサラキアの成長力はリスグラシューを彷彿とさせるすさまじさで、引退前の半年間で稼ぎ出した賞金は全キャリアの約69.5%を占めています。

逃げ・先行・差し・追込、全ての脚質で好走してきたサラキア。GⅠタイトルこそ獲得できませんでしたが、エリザベス女王杯2着からの有馬記念2着という好走実績は名牝と呼ぶにふさわしい活躍といえるでしょう。

サラキアの注目レース「2020年 有馬記念(11番人気 2着)」

サラキアが引退レースの有馬記念で残した11番人気2着という結果は、改めて「エリザベス女王杯を好走した牝馬は有馬記念でも好走できる」といった印象をファンに与えました。

阪神競馬場で行われた、前走のエリザベス女王杯。5番人気2着と健闘したサラキアですが、有馬記念では同年の宝塚記念を圧勝した歴戦の牝馬、クロノジェネシスに人気が集まります。

サラキアとのコンビで3勝を挙げてきた北村友一騎手ですが、有馬記念ではクロノジェネシスに乗ることとなります。ほかにも強豪牝馬のラッキーライラックやカレンブーケドール、ラヴズオンリーユーがいたこともあり、サラキアは影の薄い存在でした。

レースでは10番人気バビットが逃げ、2番人気フィエールマンが道中2番手につけます。前半1000mの通過タイムは62秒2。クロノジェネシスが12番手で、サラキアは13番手の後方待機でした。

レース中盤、クロノジェネシスが3番手にまでポジションを上げます。サラキアは最後の直線まで我慢し、大外一気に賭けます。

ゴール前の直線では先行策のフィエールマンをクロノジェネシスが捕えにいきます。サラキアは初コンビとなる松山弘平騎手の判断が光り、上り最速の末脚が炸裂。クロノジェネシスにはクビ差届きませんでしたが、有馬記念史上初の牝馬ワンツーを演出しました。

有馬記念を好走した牝馬 5 トゥザヴィクトリー

サンデーサイレンス
フェアリードール
同世代の活躍馬 テイエムオペラオー、メイショウドトウ、ナリタトップロードなど
競走成績 21戦6勝 [6-4-4-7]
GⅠ勝鞍 2001年 エリザベス女王杯

2001年の有馬記念。非根幹距離巧者マンハッタンカフェ、中山巧者アメリカンボスとともに激走を果たしたトゥザヴィクトリーも、同年のエリザベス女王杯を制すなど、非根幹距離での大レースに強い牝馬でした。

トゥザヴィクトリーといえば、「芝とダートの両方で一流の活躍をしてきた牝馬」として有名です。牡馬顔負けのパワーとスタミナで、2001年には当時世界最高賞金のドバイワールドカップで牝馬最高の2着に入線しました。

トゥザヴィクトリーは繫殖牝馬としても結果を出します。なかでも代表産駒トゥザグローリーは2010年の有馬記念で14番人気3着、2011年の有馬記念でも9番人気3着、と2年連続で好走。有馬記念に強い血統を印象づけました。

トゥザヴィクトリーの注目レース「2001年 有馬記念(6番人気 3着)」

2001年にドバイワールドカップ2着、エリザベス女王杯制覇と快進撃を続けてきたトゥザヴィクトリーの勢いは、同年の有馬記念でも活かされました。

2001年の有馬記念は「テイエムオペラオーVSメイショウドトウ」の最終対決となった舞台。しかし結果としては3番人気の3歳馬マンハッタンカフェに主役の座を奪われてしまいました。

トゥザヴィクトリーは前走のジャパンカップでこそ11番人気14着に沈みましたが、メンバーの薄くなった有馬記念では6番人気の評価。断トツ1番人気はテイエムオペラオーの単勝オッズ1.8倍。そして2番人気にメイショウドトウが続きます。

レースではトゥザヴィクトリーがドバイワールドカップ以来の逃げ戦法で、ペースを掌握。前半1000mの通過タイムは62秒6でした。注目の上位人気3頭は、5~8番手の中団待機からチャンスをうかがいます。

最後の直線、先頭トゥザヴィクトリーの脚色は衰えません。ゴールでは軽斤量のマンハッタンカフェに差され、穴馬アメリカンボスにも抜かれてしまったトゥザヴィクトリーですが、テイエムオペラオーとメイショウドトウには先着し、3着を守り抜きました。

根幹距離が得意な牝馬も有馬記念を好走するが……

今回の記事では「非根幹距離が得意な牝馬は有馬記念を好走しやすい」といった傾向を紹介し、代表的な有馬記念好走牝馬を5頭、ご紹介しました。

根幹距離のほうが得意なタイプにも、有馬記念を好走した牝馬は数多く存在します。ジェンティルドンナやブエナビスタ、ヒシアマゾンやエアグルーヴも有名ですね。しかし「人気以上の結果」という点では、非根幹距離巧者のほうに軍配が上がります。

今回の記事を参考にし「有馬記念は非根幹距離が得意な得意な牝馬から買っていこう!!」と予想を組み立て、高配当を狙ってみるのも面白いかもしれません。年末の大イベント、渾身の予想でレースを思い切り盛り上げましょう!!